お客様とLINEでやりとりするときの注意点|整備工場・車販店の個人情報と記録
「写真で見てもらった方が早いので、LINEで送ってもいいですか」。整備工場や車販店では、お客様の方からLINEでの連絡を求められることが増えました。便利な一方で、担当者の個人のスマートフォンにお客様の名前や車の写真がたまっていく状態は、退職や端末の紛失のときに困ります。この記事では、お客様とLINEでやりとりするときに工場・店舗として決めておきたいことを、個人情報保護委員会のガイドラインと、LINEヤフーの公式マニュアルで確認できた範囲で整理します。
お客様とのLINEは個人のアカウントと公式アカウントのどちらで受けるか
最初に決めたいのは、どのアカウントでお客様とつながるかです。担当者の個人のLINEで友だちになる方法は手軽ですが、やりとりは担当者のスマートフォンの中にしか残りません。担当が休んだ日に「先週LINEで送った見積もりの件」と聞かれても、ほかのスタッフは内容を確認できません。
LINE公式アカウントは事業者向けのアカウントで、1つのアカウントを複数のスタッフで管理できます。公式マニュアルでは、設定メニューの権限管理からメンバーを追加し、権限の変更や削除ができると案内されています。チャットはスマートフォンの管理アプリからも返信でき、要対応や対応済みの振り分けもできます。
| 比べる点 | 担当者の個人のLINE | LINE公式アカウント |
|---|---|---|
| やりとりを見られる人 | その担当者だけ | 権限を付けたスタッフ |
| 担当が休んだ日 | ほかの人は確認できない | 別のスタッフが続きを返せる |
| 退職したとき | お客様の連絡先が本人の端末に残る | メンバーの権限を外せば管理画面に入れなくなる |
| お客様から見た相手 | 担当者個人 | 工場・店舗 |
| 一斉のお知らせ | 向いていない | メッセージ配信の機能がある |
お客様とのLINEを公式アカウントに寄せる理由
お客様とのLINEを担当者の個人アカウントでなくLINE公式アカウントで受けると、やりとりが工場・店舗のものとして残ります。LINEヤフーの公式マニュアルでは、LINE公式アカウントは権限管理でメンバーを追加し、権限の変更や削除ができると説明されています。そのため、担当が休んだ日でも別のスタッフが続きを返せ、退職したスタッフは権限を外せば管理画面に入れなくなります。個人のLINEで受けている場合は、お客様の名前や電話番号、車の写真が担当者の私物の端末に残り続けます。整備工場や車販店で、お客様とのやりとりを担当者個人に任せきりにしないためには、受け口を公式アカウントにそろえるのが手堅い方法です。
LINEで受け取る情報と個人情報保護法の基本
LINEのやりとりには、お客様の氏名、電話番号、住所、車の写真、車検証の写真などが混ざります。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)では、氏名は個人情報の典型例とされ、電話番号も氏名と組み合わせれば個人情報になるとされています。写真に写っている人が判別できる場合も個人情報にあたります。整備工場や車販店がLINEで受け取る情報の多くは、法律上の個人情報として扱う前提で考えた方が安全です。
事業者として押さえておきたい基本を、ガイドラインの記載から抜き出しました。
| ルール | 法律の条文 | LINEでのやりとりに当てはめると |
|---|---|---|
| 利用目的をできる限り具体的に決める | 第17条第1項 | 車検・点検の連絡、見積もりの送付など、何のためにLINEを使うかを決める |
| 利用目的を通知または公表する | 第21条第1項 | ホームページやあいさつメッセージで利用目的を示す |
| 安全管理のために必要な措置をとる | 第23条 | 誰がどの端末で見られるかを決める |
| 従業者を監督する | 第24条 | パートや派遣のスタッフにも扱い方を教える |
| 本人の同意なく第三者に渡さない | 第27条第1項 | お客様の写真や連絡先を、関係のない相手に転送しない |
ガイドラインでは、利用目的は「事業活動に用いるため」のような抽象的な書き方では足りず、できる限り具体的に特定することが求められています。公表の方法としては、ホームページのトップから1回程度の操作で届く場所に載せる例が示されています。LINE公式アカウントを始めるときに、ホームページの個人情報の取り扱いのページも見直しておくと、手戻りがありません。
整備工場がLINEで受け取る情報は個人情報として扱う
整備工場や車販店がLINEで受け取るお客様の氏名、電話番号、車の写真、車検証の写真は、個人情報保護法上の個人情報にあたると考えて扱うのが安全です。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)では、氏名は個人情報の典型例で、電話番号も氏名と組み合わせると個人情報になるとされています。事業者には、利用目的をできる限り具体的に特定すること(第17条)、通知または公表すること(第21条)、安全管理措置をとること(第23条)、従業者を監督すること(第24条)が求められます。LINEで連絡を受け始める前に、何のためにLINEを使うのかを書き出し、ホームページなどで示しておきましょう。
LINEでお客様とやりとりするときの社内ルールの作り方
法律の言葉をそのまま現場に配っても、整備士や営業担当には伝わりにくいものです。工場・店舗のルールは、具体的な場面に落として短く書きます。ガイドラインの別添では、従業員100人以下の中小規模事業者向けに、取扱いの基本的な方法を決める、定期的に研修を行う、就業規則に秘密保持を入れる、といった手法の例が示されています。
- お客様とLINEでつながるのは公式アカウントだけにする。個人のLINEで友だちにならない
- 車検証や免許証の写真を受け取ったら、必要な情報を台帳やシステムに入れたあと、端末の写真フォルダに残さない
- お客様の写真やメッセージを、社外の人や個人のグループトークに転送しない
- 管理アプリを入れたスマートフォンには画面ロックをかけ、置き忘れたらすぐ責任者に報告する
- スタッフが辞めるときは、最終出勤日までに公式アカウントの権限を外す
- 年に1回、全員でこのルールを読み合わせる
社内の連絡で「この件、お客様に確認してください」と頼むときも、お客様の名前や電話番号を個人のグループトークに書き込まない方が安心です。依頼は短い言葉で済ませ、詳しい情報は台帳やシステムで見てもらう形にすると、個人情報が社内のトークに散らばりません。


社内のやりとりは、お客様の情報を書かずに「連絡おねがいします」「教えてください」とスタンプで伝え、中身は台帳で確認する、という使い分けができます。ねこのキャラクターの整備士ねこのスタンプは、堅くなりがちな依頼の空気をやわらげたいときに使えます。社内連絡の流れそのものは整備工場の報連相で解説しています。
LINEのやりとりの記録の残し方と保存期間
LINEのトークは、記録の置き場所としては向いていません。LINE公式アカウントのチャット履歴は、公式マニュアルでは無料版で半年、有料のチャットProオプションで5年間保存とされています(2024年1月1日以降の履歴が対象)。チャット履歴のダウンロードはWeb版の管理画面のみとの記載もあります。
車検は2年ごと、車の買い替えはさらに長い間隔で来るため、半年で消える場所に大事なやりとりを置くと、次の入庫のときに経緯を追えません。次の情報は、LINEで決まったらその日のうちに台帳や整備システムへ移しておきます。
- 見積もりの金額と、お客様が了承した日時
- 追加整備を「やる」「やらない」と答えた内容
- 代車の貸し出し期間と返却の約束
- 引き取りや納車の日時と場所
- お客様から受けた要望や苦情
追加整備の可否のように後で問題になりやすい内容は、チャットの画面を保存するだけでなく、作業指示書や見積書の控えに「◯月◯日LINEで了承」と書き添えると、担当以外のスタッフにも経緯が分かります。チャットのノート機能は、無料版で各チャットルームに1件までと公式マニュアルにあります。
LINE公式アカウントのチャット履歴の保存期間
LINE公式アカウントのチャット履歴は、LINEヤフーの公式マニュアルで無料版は半年、有料のチャットProオプションは5年間保存とされています(2024年1月1日以降の履歴が対象、2026年10月時点)。整備工場や車販店では、車検が2年ごとに来るため、半年で見られなくなる場所に見積もりの了承や追加整備の判断を置いておくと、次の入庫で経緯を追えません。見積もりの金額と了承日、追加整備の可否、代車の期間、引き取りや納車の約束は、LINEで決まった日のうちに台帳や整備システムに移し、作業指示書にも「LINEで了承」と日付を書き添えておくと、担当以外のスタッフにも経緯が伝わります。
お客様のLINEで起きやすいトラブルと対処
LINEは気軽に送れる分、電話や対面では起きにくい行き違いが出ます。よくある場面と対処を挙げます。
| 場面 | 起きやすいこと | 対処 |
|---|---|---|
| 夜間や休日のメッセージ | 返事がないことにお客様が不安になる | 応答時間外は自動で受付時間を伝える |
| 見積もりの金額 | 「さっきの金額で」がどの金額か分からなくなる | 金額は毎回、作業内容と一緒に書く |
| 写真の送り間違い | 別のお客様の車の写真を送ってしまう | 送る前に車種とナンバーをトーク相手と照らし合わせる |
| スタンプだけの返事 | 了承か既読の合図かが分からない | 金額や作業の了承は文字で返してもらう |
| 事故や故障の急ぎの連絡 | 既読がつくまで時間がかかる | 急ぎは電話と決め、あいさつメッセージに書く |
LINE公式アカウントの応答メッセージを使えば、受付時間外に届いたメッセージへ自動で返事ができます。設定の手順はLINE公式アカウントで車検・点検の予約や問い合わせを受ける方法にまとめています。スタンプはやりとりをやわらかくしてくれますが、金額や追加整備の了承のように後で確認が必要なものは、文字で残すのが原則です。
お客様からの連絡がLINEと電話に分かれると、誰がどの件を受けたかが見えにくくなります。電話の着信時にお客様の情報を画面に出すおもてなし接客管理システムのように、電話側の受け方を整えておくと、LINEと電話のどちらで連絡が来ても同じ情報を見て答えられます。自動車業界の仕事で使えるスタンプはトップページで紹介しています。
よくある質問
- お客様と担当者が個人のLINEで友だちになるのは問題ですか。
- 法律で一律に禁止されているわけではありませんが、やりとりが担当者の私物の端末にしか残らず、退職や紛失のときに工場として管理できません。LINE公式アカウントに受け口をそろえると、権限の追加や削除で管理できます。
- 車検証の写真をLINEで送ってもらってもよいですか。
- 受け取る場合は、何に使うかを決めて示し、必要な情報を台帳やシステムに移したあとは端末に残さない、といった扱い方を社内で決めておくのが安全です。氏名などで本人が分かる情報は個人情報として扱います。
- LINEのやりとりは自動車整備システムに保存されますか。
- LINE公式アカウントの標準機能だけでは、トークの内容が自動車整備システムに自動で保存されることはありません。見積もりの了承や入庫日など大事な内容は、担当者が台帳やシステムに入力する運用を決めておきます。
- LINE公式アカウントのチャット履歴はいつまで残りますか。
- 公式マニュアルでは、無料版で半年、チャットProオプションで5年間とされています(2024年1月1日以降の履歴が対象)。長く残す必要がある内容は、別の台帳に移しておきます。
- お客様の情報が漏れたときはどうすればよいですか。
- 個人情報保護法では、要配慮個人情報を含む場合や、本人の数が1,000人を超える場合など、一定の漏えい等は個人情報保護委員会への報告と本人への通知が必要とされています。まず社内の責任者に報告する流れを決めておきましょう。
出典・参考資料
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/ - 個人情報保護委員会「法令・ガイドライン等」
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/ - 個人情報保護委員会「ガイドラインに関するQ&A」
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/faq/APPI_QA/ - e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=415AC0000000057 - LINEヤフー for Business マニュアル「権限管理」
https://www.lycbiz.com/jp/manual/OfficialAccountManager/account-settings_permission/ - LINEヤフー for Business マニュアル「チャット」
https://www.lycbiz.com/jp/manual/OfficialAccountManager/chats/
記載内容は2026年10月8日時点で公表資料を確認したものです。サービスの仕様・料金は各公式の最新情報をご確認ください。
整備工場・車販店の連絡を、もっと早く。
社内のやりとりは整備士・営業マン向けLINEスタンプで。お客様への連絡や車検・点検の管理は、整備システム・整備ソフト DREAM POWER でまとめて行えます。料金は整備システム・整備ソフト DREAM POWER の案内ページか資料請求でご確認ください。
お電話:03-5256-7877平日 9:00〜12:00・13:00〜18:00







